ビールへの情熱で、神戸・六甲から世界に挑戦する「六甲ビール醸造所」


有馬温泉にほど近い六甲山の麓で1997年に創業した六甲ビール醸造所。ビール造りには六甲山の名水、厳選された麦芽や酵母、地産地消の作物などを使用しています。伝統的なスタイルにこだわらず、新しいテイストを表現し続ける六甲ビールの中島さんにお話しをお伺いしました。

◆父が作った六甲ビール

六甲ビールは、私の父 中島邦夫が創業したビールブランドです。
サラリーマンだった父の独立ビジョンを知ったのは、私が中学3年生の頃でした。
父から「独立しようと思うけど、お前はどう思う?」と相談を受けたんです。当時、仲の良い友人の両親が自営業を営んでおり、自営業という存在を身近に感じていた私は「自分の好きなことをやれば良いと思う」と答えたのを覚えています。1度目は母に相談して反対されたそうで、2度目は最初に僕に相談したと後になって父に聞かされました。あの時、私が反対していたら父は開業していなかったような気がするんですよ。背中を押してほしかったんじゃないですかね。ただ、子供ながらに父をとても尊敬していたので、反対する気持ちは湧きませんでした。その相談から3年後、父は六甲ビール醸造所を開業しました。

◆家業を継ぐという決断から日本一へ
両親は地道に、必死で商売をしていました。ビール醸造、営業、配達、そして販路拡大で休みなく働く大変そうな姿を見ていて、葛藤を抱えながらも、大学卒業後は昔から夢だった道に進みました。かつて私が父に「好きな事すれば良い」と言ったのと同じように、自分は自分の夢を追いかけるという感覚だったんです。
東京で働きながら、年に1度神戸に帰省すると、父の老化や運動神経の低下を顕著に感じるんですよ。僕が継がなければ、間違いなく会社は無くなるという不安が年々大きくなる。そして、父から学ぶためには10年は一緒に働かないとノウハウを吸収しきれないという焦りが、僕の決意を固めました。六甲ビールを継ぐ、そしてビール醸造の技術を10年で拾得する。そう覚悟をしたのは、僕が30歳、父が63歳の頃でした。
六甲ビールに入社し、父と一緒に取り組んだ仕事の中で一番大きかったのが、現在のメインとなる第2工場の建設です。父が設計し、設備の仕入れ先を調達して、配置やレイアウトもすべて父が担当しました。このビール工場の建設は、父の人生の集大成ですね。

第2工場が完成した2017年頃から、私は製造の根幹には携わらず製造には担当者を立てて、私は経営に努めました。入社当時と比べ、売り上げを3倍に伸ばしていたので、自信もついてきたんだと思います。開発にも力を注いだ結果、2021年 World Beer Awards*で六甲ビールの「SAISON」と「WHITE DAIDAI ALE」が、Country Winner(日本1位)を受賞しました。更に「WEST COAST SESSION IPA」もIPA部門の銅賞を獲得しました。組織が軌道に乗るまで大変な事も多かったですが、チームで作り上げた六甲ビールが誇らしい賞を頂けたことが心から嬉しかったです。これから私たちはビールで世界一を目指します。

*イギリスで開催される、世界最大級のビールコンペティション。2021年には世界50か国から、2.200以上の銘柄のビールがエントリー。審査は銘柄情報等を伏せたブラインドテイスティング形式で行われ、World’s Best Beerを決定します。

◆ビール製造の王道
長期保存が出来て、出荷日から賞味期限まで味がほとんど劣化しないビールを作るには、ビールに含まれる酸素の量をどれだけ少なく抑えられるかが鍵になります。ビールはデリケートで、とにかく酸素に弱い。ですから私たち六甲ビールは、製造過程で徹底的に酸素を除去する事を心がけています。
さらに六甲ビールでは徹底的な酸素除去のため、瓶詰めの際にあえてビールを拭きこぼさせてフタをします。拭きこぼさせる事でビールのロスはありますが、その分、ビールと一緒に瓶に入り込んでしまう酸素の量を抑えられて、保管期間の劣化を最小限に留め、いつでも美味しく飲んで頂ける状態にしています。

ビール製造の王道は、基本に忠実である事です。高い品質の保持・劣化軽減という土台をしっかり作った上で、新商品のニューウェーブを取り入れて製造しています。ニューウェーブの食材は、日本人ならではの味の繊細さを表現するために、地産地消の農作物を利用したレシピを作り続けてきました。同じ産地で慣れ親しまれたもの同士の組み合わせって味の相性がいいんですよ。繊細な味わいを追求できる日本だからこそ、食材を生かした味わいを追及し続けていきます。

◆ハレノニチジョウ
元々、食事と一緒に水分を摂るのは「食べた物を流したい」という人間の本能があるんですよ。だから、ビールには口の中をさっぱりさせてリセットする役割があります。食事に合うように、香りはするけれど舌に残らず消えていく、それがまた飲みたくなる要素に繋がるんです。
六甲ビールのこだわりは、また飲みたくなる味わいです。私は、ビール造りで「特徴があってしつこくない」事が条件だと思っていて、また飲みたくなる一方で、飲み飽きないビールを目指しています。

今回開発したビール「ハレノニチジョウ」は、飲み飽きない、また飲みたくなるテイストを最大限に表現できたビールだと思います。TOOTH TOOTH MART FOOD HALLNIGHT FESだけで楽しめる特別なビールを、是非たくさんの方に飲んで頂きたいです。

【商品紹介】
TOOTH TOOTHのコンセプトである「ハレの日常」をテーマに、華やかな味わいのビールをブレンドして開発したオリジナルビールが新登場。山田錦を使ったエールビールの味わいと、芳醇なローズレッドやシトラス系のフローラルな香りでスッキリした苦味が特徴のビールです。
毎日をハレにするビールを、TOOTH TOOTH MART FOOD HALLのセンターBAR「PUBGAB」でご堪能ください。

10/29 GRAND OPEN !TOOTH TOOTH MART FOOD HALL&NIGHT FES
オリジナルビール「ハレノニチジョウ」はここで飲めます!


☐ 六甲ビール醸造所
1997年に創業。
伝統的なスタイルにこだわらず、日本人に愛される味を意識して全てオリジナルのレシピで醸造し、出来たての美味しいビールを美味しいまま届けるための努力を惜しみません。六甲ビールのスタイルが神戸スタイルと呼ばれる日を目指し、美味しいビール造りへの挑戦を続けています。

六甲ビール醸造所 公式サイト

六甲ビール
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