コラム
vol.6
日本ならではの美味しい卵を届けたい、卵をきっかけに人と繋がる「北坂養鶏場」
たい肥からの循環にこだわり、日本在来のニワトリの卵を大切に育てる。卵の良さを伝えるために様々な取り組みを試みながら、“お客様の喜ぶ顔が見たい”そんな想いが詰まっています。
自然豊かな淡路島の大地の恵みと共に卵の価値を届ける、養鶏家の北坂さんにお話しをお伺いしました。
◆日本のニワトリの卵を食べてほしい
僕達はたまご屋ではなく養鶏家なので、鶏(ニワトリ)を育てて生まれた卵を皆さんにお届けするのが役割です。あまり知られていませんが、国内の養鶏場で日本生まれの鶏が育てられている割合は、全体の4%程度なんですよ。日常で口にしている卵は日本で生まれた卵なので、国産鶏卵に間違いはありませんが、意外と日本人って日本の鶏が産む卵を口に出来ていないんですよね。それがすごく残念だと感じていて、そんな思いから僕たち北坂養鶏場では、日本生まれの鶏を大切に育てて皆さんに美味しい卵をお届けしています。育てている品種は「さくら」と「もみじ」と呼ばれており、「さくら」は桜色の卵を産み、「もみじ」はもみじ色の卵を産む事が、卵の名前の由来になっています。
北坂養鶏場の、むかしながらの懐かしい卵を是非皆さんに食べてほしいですね。
◆たい肥を育てて良い循環を生み出す取り組み
養鶏場では卵の生産だけでなく、環境活動の一環で「島の土」という“たい肥”を作っています。
“たい肥”とは、飼育の過程で発生した本来不要とされる物を廃棄せずに、土と糞に分解します。そして、土だけを取り出し、発酵させて粒状にした発酵肥料と呼ばれる状態にする、これが“たい肥”です。この取り組みを多くの人に知ってもらうため「島の土」というブランドを作って、商品化しました。
飼育の過程から生まれた“たい肥”=「島の土」が淡路の農家で使用され、その土で育った作物が飼料となり、鶏が餌として食べる。鶏が卵を産む事だけが生産ではなく、鶏が気持ち良い場所で生活出来て、1つの卵が生まれるまでの循環にも繋げています。
そして、空になった「島の土」の袋が畑で二次使用されているのを見ると「島の土がある空間」そのものが淡路の風景となり、僕らの取り組みが広がっていくのを感じます。意図した以外の部分に意味を見出せるのは、すごく面白いしやりがいでもありますね。
◆色んな卵の売り方を考えたブランディング
「たまごまるごとプリン」の生産を始めたのは、今から15年程前です。卵の良さや価値をどのように伝えていけるか悩んでいた頃、卵そのままの形をしたプリンの存在を知りました。20年前に生み出された技術で作られていて、北坂養鶏場で生産してみないかというお話を頂き、始めたのがきっかけです。
当時、プリンが有名になれば卵も売れると思い込んでいました。ですが、卵は卵という認識のままで大きな関心には繋がりませんでしたね。卵の良さや価値を伝えて買って頂くのが僕達の本業なのに、伝わらないという現実に直面しました。どうすれば伝わるか考えた末、卵そのもののブランディングを開始する事にしたんです。
現在は、卵の自動販売機を島内6カ所に設置し、地域の人には馴染みある光景だと思います。この自動販売機で、初産みの小さな卵を「まだ産み始めなので小さいです」と分かるようにして、通常とはパッケージを変えて販売しています。
本来、小さい卵は加工用に使用される事が多く、皆さんの目に触れる事は少ないです。だから、鶏の産み始めの卵は小さく、大人になるにつれて大きくなる事を、養鶏場らしく分かりやすく伝えようと心がけています。
スーパーに並んでいる卵はどれも同じではなく、生き物が産んでいます。そこにある卵は世界に1個しかありません。美味しい卵は世の中にたくさんありますが、僕らはここ淡路島で鶏を育てて、生まれた卵をお届けしています。この取り組み自体を素敵だなと感じて下さる方がいて、その方に届くのが僕達の願いです。
◆卵をきっかけに、繋がることがゴール
先日、養鶏場のスタッフと一般の方が中心となって収穫体験を行ない、収穫した食材を調理して食べるというイベントを開催しました。僕達を通して田舎の仕事に触れ、皆さんに興味を持って頂けるような企画は続けていきたいですし、これからは僕がスタッフの手伝いを出来ればと考えています。若い彼らが「面白そうだからやりたい」と感じ、生産の魅力を自ら発信し、彼らに憧れるような人が続いてくれるのが理想ですね。
僕にとって大切な事は、お客様に直接お会い出来る事で、卵はそのきっかけだと考えています。卵の違いを知り、卵や生産者へ興味を持って頂き、その結果多くの人と繋がっていくのが目指すゴールです。とはいえ、養鶏場の運営は大変な仕事も多いのですが、どんな仕事もみんな頑張って取り組み、楽しんでくれる仲間がいます。これからは「大変な仕事」も「大切な仕事」に変えていきたいと考えていますし、淡路島、そして僕たち生産者の「背景」をもっと知ってもらえるような活動を続けていきます。
【商品紹介】
◆神戸デュシャンのオムライス◆
神戸近郊の食材と旬の食材の旨味を最大限に引き出し、じっくり煮込んだデミグラスソースが絶品の”神戸の洋食”。
丁寧に一つ一つ巻き上げるオムライスには、北坂たまごを使用しています。
自慢のデミグラスソースと合わせてお召し上がりください。
◇洋食屋 神戸デュシャン◇
神戸市中央区八幡通4-1-27 Dグラフォート神戸三宮タワー1F
◇洋食屋 神戸デュシャン トゥースマート店◇
神戸市中央区新港町7-2 神戸ポートミュージアム1F
(TOOTH TOOTH MART FOOD HALL&NIGHT FES内)
☐ 北坂養鶏場 公式サイト
https://kitasaka.net/
☐ 北坂養鶏場 インスタグラム
https://www.instagram.com/k_chokubai/